6月 2013


ゾンビごっこをやってて、ひとりで、はじめはショッピングセンターのショーウインドウを叩く真似とか、駐車場のフェンスを乗り越えようとしてたら踏まれて起き上がれなくなってる真似とか、けっこう盛り上がってたんだけど、そのうち飽きて、きみは笑わないし、でもやめどきがわからないまま続けているうちに、板についてきたというか、自分はロメロ仕込みだから、オブザデッド系のゾンビしかできないんだけど、なんとなく美しいゾンビ像に近づきつつあるのがわかって、ほら、これから川わたるよ、って、ザブザブ、

抱きしめたときの、電池ケースの感触がきらいだと言って、投げ返されたピカチュウのぬいぐるみを、セルフで鳴き声つけて撫でてると、ハイウェイっぽいやつやろう、おまえ、いまからあたしのマシンな、3800CCくらいの、ほんとはメタリックブルーがいいけど、おまえ黒い服しかないし、黒でいいよ、ピンクはダサいからやめて、はやく脱いで、おれはアニメの方じゃなくてゲームの方の、大谷育江の方じゃなくて波形メモリ音源の方の、ピカチュウの鳴き声を模索している最中だった、あれはピカチュウなんてかわいい発音してるようじゃだめだな、ギガデュウくらいやらないと足りないね、

どこぞのJとNじゃあるまいし、恥ずかしいからやりたくなかったんだけど、仕方なしに、きみを背にのせて、ゾンビごっこでもなく、ピカチュウごっこでもなく、ハイウェイごっこに興じながら、ドラクエ7のリメイクの、くさったしたいの走り方を思い出してたら、少しテンションあがってきて、でもブオーンとかいうと怒られるから黙って、きみも黙ったまま、ふたりでハイウェイを走った、レヌール城を目指した、通信ケーブル、ほしいな、

自画撮りオナニーもののAVに入ってる、車の走行音が好きだった、ヘッドフォンしてると、パンふられたエンジン音が耳を抜けていって、その中心にあえぎ声とバイブローターの震動音があるのが好きだった、シオンタウンに着いたらすぐ自転車にのるきみは、いまおれの上で目を閉じて、夜風にあおられている、ゴーストを進化させたことのないおれは、ハイウェイの上空がうすむらさきになっていくのを見ていた、もう3月だった、今年も桜の木の下で、死体は見つかるだろうか、きみがニフラムで消す前に、本場のゾンビのテクを少しでも盗もうと思った、


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ハイウェイゾンビ

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2013年6月19日水曜日

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夢精した、全裸で煙草を吸いながら、パンツを洗濯機にかけていると、不穏な音、次第に加速し、やがて一定の間隔で、洗濯機が大きくゆれるようになる、傍の金属のラックが軋んだ音を立てる、きょうは電車に乗って、電気屋に行きたい、蛇口から水の吹き出る音、洗濯槽の回転する音、ブレイクビーツが部屋を支配している、おれの精子たちがハードコアしている、

駅のホームの、黄色い線の外側で、女子高生たちがラインダンス、左から緑の電車、スカートが次々にめくれて、パンツに、ドットで、侵、略、者、ヲ、討、テ、ハート、ドアが開く、駅員のアナウンスと共に、スーツのヒョウモンダコ、学ランのチンアナゴ、眼鏡のアオリイカ、ピアスのホオジロザメ、トレンチコートのハダカイワシ、ビーチサンダルのタカアシガニ、ニット帽のワニトカゲギス、ヘッドフォンのチョウチンアンコウ、隊列を組んで、迫ってくる、女子高生たちは、瞬く間にやられ、おれはその死体の中のひとりと目があったまま動けない、長い黒髪を垂らし、胸に大穴を空け、血を吐いている、ドアが閉まる、空っぽの電車が遠ざかっていく、にじり寄ってくる侵略者たちの、指先から、ビーム、おれの手には、弾け飛んできた女子高生の脚、かかとの潰れたローファー、白いハイソックス、ふともも、ふともも、ふともも、ふともも、ふとももを、両手で掴んで、上段に構える、侵略者たちを横一線になぎ払う、ビームの当たらない、懐へ飛び込んで、左から右へ、右から左へ、何往復もしながら、侵略者たちを線路へ蹴落としていく、特急が通過していく、女子高生の、脚は強い、カラフルな、カラスの群れが、死肉を啄ばむために降りてくる、おれは手にしていた脚を守ろうと、冷たくなったふとももに頬を擦りつけ抱きしめる、強く抱きしめすぎたため、脚の付け根の断面から、血が吹き出てきて顔にかかる、紫のカラスが、尖ったくちばしをこちらに向けて滑空してくる、

血と汗にまみれた服を脱ぎ、濡れたパンツを拾い上げ、洗濯機のスイッチを入れる、パソコンにマイクを繋ぐ、録音を開始する、リリックを書きながら、今朝の夢のことを思い出す、契約書にサインを書かされ、遠い惑星からやってきた女の子の生体実験に立ちあう夢だった、


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=259789

あなたにパイを投げる人たち 夏合宿即興詩大会 企画参加作品
http://anapai.com/pai-cha/2-2/

使用したお題
洗濯機、ハードコア、水玉、インベーダーゲーム、鳥葬、免責事項、惑星


地下鉄降りて改札抜けて階段上って、パンツ、パンツ見えパ、見えないし、ふつう見えるわけないし、適当に広告でも眺めてたふりして視線を流して、熱風にやられる、マックブックを脇に抱えたランチ帰りの会社員を見送り、スマホを覗きあう野球部の群れをかきわけ、しかめっ面で暑いと呻きながら、喫煙所探して歩いていたら、頭にテレビ被った女子、が、鉄柵に寄りかかって俯いている、ブラウン管だし、それ、テレビデオじゃん、思わず口にしてしまって、返事のかわりにおれの方へ顔、テレビの画面だけど、向けて、なんとなく視線を感じて気まずくなって、煙草に火をつける、まだこっちを見つめてる、画面には何も映ってないけど、アグレッシブに陽射しを反射させて、屈折させて、ビームを命中させてくる、よける意味もかねて、煙草の灰を落とそうと灰皿へ歩み寄ったら、合わせて顔の向きを変えてくる、ためしにしゃがむ、パンツは見えん、ビームが熱い、それ、ビデオ見れんの、今度は頷く、へえ、意外と軽いのかな、夏服のセーラー、涼しそう。

中古屋でエロビデオを数本、適当に、適当に選ぶふりしつつも、できるだけ顔がロリっぽい女優のを、しかもできるだけマニアックなタイトルにならないように細心の注意を払って、買って、一緒にホテル行って、じゃあ、いれるよ、って冗談っぽく言いながらまずコスプレモノのビデオを、彼女の顔のデッキに差し込む、痛かったら言えよ、とか、はじめてじゃないよね、とか、頭よぎったけど、正座した彼女の、折りたたまれた腿に食い込む白ハイソに目がいってしまって、それどころじゃなかったし、それどころじゃなかった自分に焦って、おれさ、ずっと探してる女の子がいるんだよね、急に語りはじめてしまう、むかし、小学生の頃、チャットで仲良くなった子がいてさ、彼女の画面にスク水の女が現われ、ビート板に股間をこすりつけはじめる、毎晩のように、親に隠れて話してて、ガキだったし、当然頭の中エロいことばっかでさ、プールに喘ぎ声が響く、女は腰をくねらせ、表情をゆがめていく、ついには電話とかして、いよいよテレフォンセックスにまで持ち込んでさ、視点がかわり、アップされた女のケツが画面の中を前後に動くようになる、小学生としての、めいっぱいのエロ知識を総動員させていやらしいこと喋りながら、必死にチンコしごいてた、今度は仰向けになって股を開いた女の、濡れたスクール水着のはりつくからだを、カメラがゆっくりとなぞっていく、思えば、初体験だったな、いや、高校入るまで童貞だったんだけど、彼女は背筋を伸ばして正座したまま、画面に痙攣するスク水の女を映して、おれの話にききいっているのか、ビデオの再生中は動けないシステムなのか、わからんが、煙草を取りに立ち上がると、首だけは、人間の関節の可動範囲内で、ある程度はまわるらしくて、おれの動きを追ってくる、煙を吐いて、ビデオを取り出して、二本目、どこまで話したっけ、まあ、とにかく、会いたくなってさ、会おうって話してさ、でもその子は東京で、おれは田舎に住んでたから、放課後の教室で、制服の女が二人手を繋いで舌先をからめている、大学生になったら、東京行くよ、そしたらほんとのセックスしよう、って夢みて、毎晩、チャットにログインして、たまに電話越しにオナニーして、ショートカットの女が、ツインテールの女のブレザーのボタンを一つずつ外して、シャツの上から胸元を撫でている、いつのまにか、お互い中学生になって、おれにも恋人ができて、ツインテール女の胸がはだけ、ショートカット女の舌が唇から首筋、鎖骨へと下りていく、ミクシィとかフェイスブックとかツイッターとかスカイプとか、違うんだよね、日記や呟きが毎日更新されていくのを見ると、ああ、人間、いるな、って、なっちゃう、片手がスカートの中に潜り込む、すかさずカメラがローアングルに切り替わる、ネットの関係ってあくまで始まりから終わりまでバーチャルでさ、そういうハンドルネームのキャラクターがインターネットの中にいるだけ、白いレースのパンツにノイズが雑じってくる、サイト相互リンクしてても、個室のチャットルームもってても、一度風化がはじまったら、あっという間に塵になって、思い出した頃には、ビデオが途切れて、彼女の顔が砂嵐で覆われる、なんで、こんなこと話してるんだろうな、その子、喘ぎ声、すげーかわいかったんだよ。

三本目を再生している途中で寝てしまったらしい、目を覚ますと、彼女は顔だけ残していなくなっていた、ブラウン管を抱えて外に出る、駅までの道を戻る、みんな手にもつ端末を操作している、小型化や薄型化は、だめだな、被れないから、バレる、パンツとか、簡単に見れそうだし、地下鉄のホームへ続く階段から、機械熱と体温の風、東京は、だれにも会えない。


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=257988

文学極道 月間優良作品 2012年7月 次点佳作
http://bungoku.jp/monthly/?name=%8B%9B%89%AE%83X%83C%83%5C#b01

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