works/詩


 インサートユアコイン、電車を降りた瞬間に数フレームの硬直があって、ガードが間に合わず赤ゲージ、毎年夏がくる度に、去年はなぜ夏を乗り切れたのだろうと疑問に思う、同じ車両に乗っていた女の子が指の絆創膏を急に剥がしはじめて、うっかり見入ってしまったことによる致命傷、左手で持ったスマホの画面をさっきまでつっついていた指に日焼けの跡ができていて、もしかしたらそういう流行りなのかもしれない、とか考えているあいだに、一方的に熱になぶられていた、発車メロディ、背中でドアが閉まる、小学生の頃、友達に借りたゲームカセットの裏に絆創膏が貼ってあって、母親の文字で名前が書かれてあったのを、ホームの階段を降りながら思い出していた、
 ディーしました、ラインやってますか、おこだよ、わかる、それな、ドコドコドコドコ、駅前がキャラクターオーバーしても人は沸き続ける、普段、熱気や熱風や熱狂と同じイントネーションでネットと発音しているはずなのに、ネットの中は涼しそう、サーフもダイブもできるし、夏はそっちへ行けばいいのに、レアドロップ狙いのハンターたちは、ソロプレイでも平気で街へ出てきて部位破壊をしはじめるから、メイド服の客引き弾幕がさらに濃くなって、当たり判定を狭めるスキルの極振りが必須になってくる、靴先のエナメル光沢、ピンクのボーダーニーハイ、 高温になったアスファルトから、蒸発するように空へ昇っていく数字たち、レベリングに夢中になれる時期というものが、ある日突然終わりを迎えて、敵を前にするプレイヤーキャラクターに、モニターの前の自分を見つけてしまったときの、真っ黒に透き通ったあの不安、ロード中の暗転した画面に、自分の顔が映り込むのを気味悪く感じはじめたのはいつからだろう、ゲームボーイをリュックに入れて遊びに出かけていた頃は、ずっと主人公だった、
 待ち合わせ場所で立ち止まる、押し付けられたビラを思わず受け取ってしまう、目の前で捨てるわけにもいかず、ランクを下げるための自機潰しだと捉えてポケットにねじ込み、彼女の姿を探す、店内から、アーケード筐体のサウンドが波になって、無数の金属片の漂流物を巻き込みながら聴覚へなだれ込む、この街にはもう、百円で回せるガチャガチャも、百円でコーヒーの飲める喫煙所もない、コインを積んで縦シューに挑んでいたひとたちは、正式な免許を順当な手続きを経て取得してから、抱え落ちしたボムをひとつひとつ、時間をかけて解体している、初回特典のコスチュームのコードをオークションに出品し、期間限定のスペシャルダンジョンに挑み、アップデートの調整に文句を言いながら、リセットマラソンを繰り返して得たステータスで、エイムした相手にヘッドショットを撃ち込んでいる彼らと、ぼくはこれからも出会えないまま、すれ違い通信し続ける、
 向こう側のカレー屋から、街の喧騒のフィルタで穴だらけになったアニソンが聞こえてくる、汗を拭いながら、巨大な尻尾のストラップをぶらさげて歩く女子高生の後ろ姿を目で追う、誰もいない方向へ似たような感嘆詞を呟いている、ハンズフリーでフリーになるのは手じゃなくて、相手の存在、はい、いいえ、
 少し遅れる、という内容のメールを受信して、ゲーセンの中へ逃げ込む、この冷気を瓶詰めにして九十九個スタックしておきたい、プライズ機のボタンを押す手、パネルをタッチする手、レバガチャする手、ガンコンを握る手、これらがすべて解放される頃には、街のマップチップはダウンロードコンソールで配信され、住民のエーアイはクラウド化されているかもしれない、攻略本が、厚くなるな、
 入り口に貼ってある音ゲーのポスターを背にして壁へもたれかかって、ポケットの中を探る、メイド喫茶でも耳かきでも足ふみマッサージでもなく、自称地下アイドルのライブの告知だった、さっきのビラには動画サイトや各種エスエヌエスのアカウントまで表記されていて、その下にはコラボしたボカロプロデューサーの名前も載っている、ケータイでバーコードの読み取りを試みるも、レイアウトの崩れたページが表示されるだけで詳細なプロフィールはわからなかった、電源ボタンに指をかけると同時に着信が鳴って、到着、どこにいるの、きょう暑いね、
 顔を見て話せない、エロゲのメッセージウインドウが下段に表示されることによる弊害、絶対領域のステマ、自動ドアが開いて、再びデバフをかけられる、質量のない電波が羨ましい、一度決めた種族は変更できないから、もっと慎重にキャラメイクするべきだったと後悔、クイックセーブはないくせに回想モードはやたら充実しているし、強くてニューゲームする妄想のあとの賢者タイムは復活の呪文を唱えるエムピーすら残っていない、エラーを吐くだけ吐いても、何も減らない、何も増えない、修正パッチよりもモッドが欲しい、
 サーバのメンテナンス前って、世界が終わるみたいで、ドキドキするよね、きょう朝五時前、そう言い残してログアウトした彼女が、ゲームのアバターと同じ位置に同じ色のバッジをつけて、前髪をてのひらで抑えながら、俯きがちに歩いてくる、ぼくはあのあと、メンテがはじまって回線が切断されるまで、パッドを握って立ち尽くしたまま、彼女が消えた空間を見つめていた、
ゲームオーバー、外気温と体温の境界がなくなりはじめる、排熱ファンをもたないぼくらは、ほとんどこの街そのものになりつつある、太陽、討伐するクエストないの、経験値おいしそうだね、耐性装備整えないと、バフだったらまかせて、デスペナがキャラロストだったとしても、保存された会話ログは残る、負けたら罰ゲームね、なにそれ、外行ってアイス買ってくる、そこに自販機あるじゃん、わたしが食べたいのが売り切れだった、勝つこと前提かよ、筐体を挟んで彼女と向かい合わせに座り、百円玉を取り出す、誰もいない街の中で、夏がカンストする、


『あるところに、vol.2』掲載
http://arutokoroni.com/

ノンプレイヤーシティ

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2014年4月21日月曜日

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ゾンビごっこをやってて、ひとりで、はじめはショッピングセンターのショーウインドウを叩く真似とか、駐車場のフェンスを乗り越えようとしてたら踏まれて起き上がれなくなってる真似とか、けっこう盛り上がってたんだけど、そのうち飽きて、きみは笑わないし、でもやめどきがわからないまま続けているうちに、板についてきたというか、自分はロメロ仕込みだから、オブザデッド系のゾンビしかできないんだけど、なんとなく美しいゾンビ像に近づきつつあるのがわかって、ほら、これから川わたるよ、って、ザブザブ、

抱きしめたときの、電池ケースの感触がきらいだと言って、投げ返されたピカチュウのぬいぐるみを、セルフで鳴き声つけて撫でてると、ハイウェイっぽいやつやろう、おまえ、いまからあたしのマシンな、3800CCくらいの、ほんとはメタリックブルーがいいけど、おまえ黒い服しかないし、黒でいいよ、ピンクはダサいからやめて、はやく脱いで、おれはアニメの方じゃなくてゲームの方の、大谷育江の方じゃなくて波形メモリ音源の方の、ピカチュウの鳴き声を模索している最中だった、あれはピカチュウなんてかわいい発音してるようじゃだめだな、ギガデュウくらいやらないと足りないね、

どこぞのJとNじゃあるまいし、恥ずかしいからやりたくなかったんだけど、仕方なしに、きみを背にのせて、ゾンビごっこでもなく、ピカチュウごっこでもなく、ハイウェイごっこに興じながら、ドラクエ7のリメイクの、くさったしたいの走り方を思い出してたら、少しテンションあがってきて、でもブオーンとかいうと怒られるから黙って、きみも黙ったまま、ふたりでハイウェイを走った、レヌール城を目指した、通信ケーブル、ほしいな、

自画撮りオナニーもののAVに入ってる、車の走行音が好きだった、ヘッドフォンしてると、パンふられたエンジン音が耳を抜けていって、その中心にあえぎ声とバイブローターの震動音があるのが好きだった、シオンタウンに着いたらすぐ自転車にのるきみは、いまおれの上で目を閉じて、夜風にあおられている、ゴーストを進化させたことのないおれは、ハイウェイの上空がうすむらさきになっていくのを見ていた、もう3月だった、今年も桜の木の下で、死体は見つかるだろうか、きみがニフラムで消す前に、本場のゾンビのテクを少しでも盗もうと思った、


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=270044

ハイウェイゾンビ

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2013年6月19日水曜日

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夢精した、全裸で煙草を吸いながら、パンツを洗濯機にかけていると、不穏な音、次第に加速し、やがて一定の間隔で、洗濯機が大きくゆれるようになる、傍の金属のラックが軋んだ音を立てる、きょうは電車に乗って、電気屋に行きたい、蛇口から水の吹き出る音、洗濯槽の回転する音、ブレイクビーツが部屋を支配している、おれの精子たちがハードコアしている、

駅のホームの、黄色い線の外側で、女子高生たちがラインダンス、左から緑の電車、スカートが次々にめくれて、パンツに、ドットで、侵、略、者、ヲ、討、テ、ハート、ドアが開く、駅員のアナウンスと共に、スーツのヒョウモンダコ、学ランのチンアナゴ、眼鏡のアオリイカ、ピアスのホオジロザメ、トレンチコートのハダカイワシ、ビーチサンダルのタカアシガニ、ニット帽のワニトカゲギス、ヘッドフォンのチョウチンアンコウ、隊列を組んで、迫ってくる、女子高生たちは、瞬く間にやられ、おれはその死体の中のひとりと目があったまま動けない、長い黒髪を垂らし、胸に大穴を空け、血を吐いている、ドアが閉まる、空っぽの電車が遠ざかっていく、にじり寄ってくる侵略者たちの、指先から、ビーム、おれの手には、弾け飛んできた女子高生の脚、かかとの潰れたローファー、白いハイソックス、ふともも、ふともも、ふともも、ふともも、ふとももを、両手で掴んで、上段に構える、侵略者たちを横一線になぎ払う、ビームの当たらない、懐へ飛び込んで、左から右へ、右から左へ、何往復もしながら、侵略者たちを線路へ蹴落としていく、特急が通過していく、女子高生の、脚は強い、カラフルな、カラスの群れが、死肉を啄ばむために降りてくる、おれは手にしていた脚を守ろうと、冷たくなったふとももに頬を擦りつけ抱きしめる、強く抱きしめすぎたため、脚の付け根の断面から、血が吹き出てきて顔にかかる、紫のカラスが、尖ったくちばしをこちらに向けて滑空してくる、

血と汗にまみれた服を脱ぎ、濡れたパンツを拾い上げ、洗濯機のスイッチを入れる、パソコンにマイクを繋ぐ、録音を開始する、リリックを書きながら、今朝の夢のことを思い出す、契約書にサインを書かされ、遠い惑星からやってきた女の子の生体実験に立ちあう夢だった、


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=259789

あなたにパイを投げる人たち 夏合宿即興詩大会 企画参加作品
http://anapai.com/pai-cha/2-2/

使用したお題
洗濯機、ハードコア、水玉、インベーダーゲーム、鳥葬、免責事項、惑星


地下鉄降りて改札抜けて階段上って、パンツ、パンツ見えパ、見えないし、ふつう見えるわけないし、適当に広告でも眺めてたふりして視線を流して、熱風にやられる、マックブックを脇に抱えたランチ帰りの会社員を見送り、スマホを覗きあう野球部の群れをかきわけ、しかめっ面で暑いと呻きながら、喫煙所探して歩いていたら、頭にテレビ被った女子、が、鉄柵に寄りかかって俯いている、ブラウン管だし、それ、テレビデオじゃん、思わず口にしてしまって、返事のかわりにおれの方へ顔、テレビの画面だけど、向けて、なんとなく視線を感じて気まずくなって、煙草に火をつける、まだこっちを見つめてる、画面には何も映ってないけど、アグレッシブに陽射しを反射させて、屈折させて、ビームを命中させてくる、よける意味もかねて、煙草の灰を落とそうと灰皿へ歩み寄ったら、合わせて顔の向きを変えてくる、ためしにしゃがむ、パンツは見えん、ビームが熱い、それ、ビデオ見れんの、今度は頷く、へえ、意外と軽いのかな、夏服のセーラー、涼しそう。

中古屋でエロビデオを数本、適当に、適当に選ぶふりしつつも、できるだけ顔がロリっぽい女優のを、しかもできるだけマニアックなタイトルにならないように細心の注意を払って、買って、一緒にホテル行って、じゃあ、いれるよ、って冗談っぽく言いながらまずコスプレモノのビデオを、彼女の顔のデッキに差し込む、痛かったら言えよ、とか、はじめてじゃないよね、とか、頭よぎったけど、正座した彼女の、折りたたまれた腿に食い込む白ハイソに目がいってしまって、それどころじゃなかったし、それどころじゃなかった自分に焦って、おれさ、ずっと探してる女の子がいるんだよね、急に語りはじめてしまう、むかし、小学生の頃、チャットで仲良くなった子がいてさ、彼女の画面にスク水の女が現われ、ビート板に股間をこすりつけはじめる、毎晩のように、親に隠れて話してて、ガキだったし、当然頭の中エロいことばっかでさ、プールに喘ぎ声が響く、女は腰をくねらせ、表情をゆがめていく、ついには電話とかして、いよいよテレフォンセックスにまで持ち込んでさ、視点がかわり、アップされた女のケツが画面の中を前後に動くようになる、小学生としての、めいっぱいのエロ知識を総動員させていやらしいこと喋りながら、必死にチンコしごいてた、今度は仰向けになって股を開いた女の、濡れたスクール水着のはりつくからだを、カメラがゆっくりとなぞっていく、思えば、初体験だったな、いや、高校入るまで童貞だったんだけど、彼女は背筋を伸ばして正座したまま、画面に痙攣するスク水の女を映して、おれの話にききいっているのか、ビデオの再生中は動けないシステムなのか、わからんが、煙草を取りに立ち上がると、首だけは、人間の関節の可動範囲内で、ある程度はまわるらしくて、おれの動きを追ってくる、煙を吐いて、ビデオを取り出して、二本目、どこまで話したっけ、まあ、とにかく、会いたくなってさ、会おうって話してさ、でもその子は東京で、おれは田舎に住んでたから、放課後の教室で、制服の女が二人手を繋いで舌先をからめている、大学生になったら、東京行くよ、そしたらほんとのセックスしよう、って夢みて、毎晩、チャットにログインして、たまに電話越しにオナニーして、ショートカットの女が、ツインテールの女のブレザーのボタンを一つずつ外して、シャツの上から胸元を撫でている、いつのまにか、お互い中学生になって、おれにも恋人ができて、ツインテール女の胸がはだけ、ショートカット女の舌が唇から首筋、鎖骨へと下りていく、ミクシィとかフェイスブックとかツイッターとかスカイプとか、違うんだよね、日記や呟きが毎日更新されていくのを見ると、ああ、人間、いるな、って、なっちゃう、片手がスカートの中に潜り込む、すかさずカメラがローアングルに切り替わる、ネットの関係ってあくまで始まりから終わりまでバーチャルでさ、そういうハンドルネームのキャラクターがインターネットの中にいるだけ、白いレースのパンツにノイズが雑じってくる、サイト相互リンクしてても、個室のチャットルームもってても、一度風化がはじまったら、あっという間に塵になって、思い出した頃には、ビデオが途切れて、彼女の顔が砂嵐で覆われる、なんで、こんなこと話してるんだろうな、その子、喘ぎ声、すげーかわいかったんだよ。

三本目を再生している途中で寝てしまったらしい、目を覚ますと、彼女は顔だけ残していなくなっていた、ブラウン管を抱えて外に出る、駅までの道を戻る、みんな手にもつ端末を操作している、小型化や薄型化は、だめだな、被れないから、バレる、パンツとか、簡単に見れそうだし、地下鉄のホームへ続く階段から、機械熱と体温の風、東京は、だれにも会えない。


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=257988

文学極道 月間優良作品 2012年7月 次点佳作
http://bungoku.jp/monthly/?name=%8B%9B%89%AE%83X%83C%83%5C#b01


Attack
テクスチャの、繋ぎ目を剥き出しにした、実態のない部屋の、ディスプレイの顔の、スノーノイズの、手術台の上の、水性マシン、固形深海、投棄されたインスタント酸素チップ、女は処刑装置に閉じ込められ、黒い端子を膣に繋げられ、回転しながら、レーザーを発射し、全身の血を抜く音で絶頂を迎え、レーザー、青いレーザー、一種の生物発光に照らされた、箱型の深海は胎動し、破水し、

Decay
病棟は、金属の擦れる音と、それに呼応する狂人の声に包まれる、コンソールのダイアルをまわす、映写機がまわる、四つ打ちされた少女、サンプリングされた少女、スクリーン、冷たいパルスの、魚の歯の、

Sustain
ゾンビロイドが開発され、穏やかな順応の後、人間との共存に成功したが、アンドロイドのゾンビなのか、ゾンビのアンドロイドなのかは、まだわかっていない、喰うのは生物ではなく、生物によって保存された生物の媒体、しかしコーデックが無いため、テキストに限られ、これによって詩人は一時の絶滅を免れたが、次第にネットは文字情報で溢れ、文字写真家、文字音楽家、文字映像家が誕生し、蔓延し、プロトタイプの有志は集団でコールドスリープし、奥歯に毒を仕込んだ古典派は、政令指定廃墟でのみ活動を許されている、

Release
という、科学小説のページを、一枚ずつ破り、巻き煙草にし、火をつけ、レーザーに絡みつく煙が、夢を見るように、波を描くのを、うねるのを、フロアの影の、プールの底の、ソナー、フィルター、魚の尾、


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=250354

閉熱線同人誌『青の独白』掲載
http://heinetusen.web.fc2.com/

エンベロープフィッシュ

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2013年5月17日金曜日

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青いビニール袋を頭にかぶった集団が
夜明けを瓶につめて持ち運んでいるのを
プールサイドの金網の隙間からのぞいている

底に沈んだラジカセのまわりには
人体模型を改造してつくった爆弾が設置されていて
わたしたちはあたらしい呼吸のしかたを考えながら
かけつけた解体班がダンスをはじめるかどうかを賭けているのだった

ぬれたセーラー服の裾をしぼると
かつてサイバーだったものたちがつぎつぎにパンクして
静脈と動脈を交互に発光させ
学校をディスコと勘違いして徘徊するようになるため
駆除隊は武装を強いられているが
酸素ボンベの供給がまにあっていないらしい

無数の端子が接続先をもとめ
カラフルな電線をのばしてゆれている

わたしはあなたをころすかわりに
肺にメタリックなみずをためこんで
宇宙人ごっこのつづきをするから
むかしの発明品をおもいだすふりをして
なにもいわずに侵略されてほしい

スピーカーがつめたい遊びをはじめる

深海魚のような機械が群れを成して
わたしのからだをすりぬけていく


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=247931

閉熱線同人誌『青の独白』掲載
http://heinetusen.web.fc2.com/


冷蔵庫の炭酸水を飲みながら、太陽をみちづれにして水時計の中身が落ちていくのを見つめていた。むらさき色の部屋が暗くなるまで、シンセサイザーの上でダンスを踊っても、凝り固まった意識が頭蓋骨に当たる反響音で目が覚めてしまう。むきだしの矩形波が食い込んで、指に歯形を残していくが、血は出ない。おれはいつのまにかノーマライズされてしまった。おまえはいつのまにか消えてしまった。砂浜へ続く夜道を歩く。おまえの好きな歌を息切れするまでうたって、溺れるという感覚が遠のいてしまわないようにする。海を、呼吸を忘れるためのツールとしてとらえる。繋がらない番号にダイアルする。耳に当たる波のうねりと、水中で回転する魚の発光が、テクノめいた音楽になって頭の中で点滅する。水は透き通っている。すべてをさらけ出すふりをして、すべてを覆い隠している。おれは煙草に火をつけて、夜明けを待っていた。水平線にさわってみたい。おまえの肌みたいに、つめたく滑って、体温を奪ってくれるのだろうか。氷のように眠るおまえが好きだった。また、夢の話をきかせてくれ。

「冷蔵庫で眠るようになってから、皮膚が透けはじめました。色つきのソーダが、わたしを水時計にして、太陽の歯車をまわします。むらさき色に渦巻いて、鍵盤の上で踊るあなたの指に噛み付いたときの、電子音の味が好きでした。ディレイというエフェクターが好きでした。イコライザーをやりたい放題いじって、あなたによく叱られました。夜になると、あなたは携帯電話を飲み込んだわたしを連れて外を歩くのです。砂浜までの一本道を、一緒に歌をうたいながら、歩くのです。海へ潜って、あなたが電話をかけるのを待って、わたしの毛細血管や筋肉組織の中を、イルミネーションにまみれて、魚が泳いでいるのを眺めながら、呼吸を忘れないためのおまじないをします。水中に沈むことと、凍りつくことの違いを教えてください。あなたはわたし越しに夜明けを睨んだまま、かえってきません。わたしの向こう側から、かえってきません。あなたの吐く煙を、吸い込んでもいいですか。今朝は、冷凍庫で眠ります。あなたがわたしを起こす頃には、つめたい結晶になっているでしょう。夢の話を、きかせてあげます。」


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=239202

閉熱線同人誌『青の独白』掲載
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冷透

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「もしあたしがゾンビになったらどうする」
「うっかりちんこから食ってもらう、じゃあもしおれがゾンビになったら」
「ぶち殺す」

おまえの人生テクノポップ!おまえの人生チルアウト!おまえの人生ドラムンベース!おまえの人生ハードコア!ってののしりながら、蛍光色の内臓みたいなのがついたでかい水鉄砲でメロンソーダ撃ちあってギャングごっこする動画を撮ってアップロードしたら、数日で権利者とやらに削除された、うしろで流してたレザボア・ドッグスのオープニングがアウトだったらしい、権利者ってだれだ、ミスター・ブロンドか、ごりっごりの電子音でダンスしながら拷問するのか、煙草がなくなったから買ってきてくれよ、あとガリガリ君以外のアイス、なあ、きこえてる、おまえがいまお洒落なエレクトロニカかなにかと勘違いしてヘッドフォンできいてるそのトラック、おまえの喘ぎ声のリミックスだから、ついでにおれの罵倒文句も足してあるけど、おい、きこえてるのか、応答しろスネーク、権利者ってだれだよ、箱男に出てくる女教師か、ドアの向こうでピアノの鍵盤に股間こすりつけてるのか、貝殻草スニッフしたらおれも溺死する夢みれるかな、こないだのおまえのオバンバのコスプレ似あってたよ、今度おれタール・マンやるよ、墓地でセックスしようぜ、バタイユの小説みたいにさ、舞城は人間が死んだら煙か土か食い物になるって言ってるけど、ゾンビはどれに分類されるんだろうな、はやくコンビニ行ってこいよ、パンツ見えてるよ、おれは死んだらどれになれるんだろう、死はけっこうシリアスにやってくるかもしれないけど、シリアスに死ぬとおもってるやつはばかだ、クサレ脳みそだ、大真面目に死にたいとおもってるやつはいますぐ死ね、べつにたいしたことじゃない、口にできる時点で死は喜劇名詞なんだよ、いくら死にたいって言っても言われても死ぬことや死なれることを体験できるわけがないんだよ、それはフィクションだ、恋人が死んで後追い自殺なんて最高にハッピーエンドじゃないか、こないだガリガリ君のアタリが出るまで食べ続けたら凍死しかけた話ってもうしたっけ

「煙草買ってきたよ、ジャンプとヤンマガとスピリッツも」
「いいから脱げよ」
「いま生理中」

おまえのゲロ吐く前後の顔がすき、もうすぐ夜が明ける、どっちがさきにゾンビになるか勝負な


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=237136

閉熱線同人誌『青の独白』掲載
http://heinetusen.web.fc2.com/

ゾンビポップ

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2013年5月12日日曜日

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 鍋に水を張って、冷蔵庫で体育座りしたまま眠っていた彼女を沈めて、煙草に火をつけた。彼女の、絶対に笑うことのない冷徹な唇が好きだった。肌はミルクとピンクソーダがマーブルに渦巻いていて、まるで雨の日の窓ガラスを反転させたような表情をしている。火にかけると、首筋や肩や鎖骨の溝や二の腕に、薄桃色の水滴がたくさん浮き出てくるようになって、顫動しながらある程度の大きさまで成長した途端、次々に割れていく。プチプチしたグミかあるいは魚卵が、彼女の肌で産まれたり爆ぜたりしている。水面に広がった彼女の長い黒い髪が、先の方から色がなくなっていくのを、おれは煙を吐きながら観察していた。高熱で液化するどんな金属よりも穏やかで、高温で茹でられるどんな食物よりも蕭やかだった。飾らず、光らず、無表情に滾っている。水が沸騰する頃には、ほとんど体中が透き通ってしまっていた。全身を今にも敗れそうな膜にしていて、中の心臓や子宮や卵巣がゆっくり踊っているのが見える。フォークを握って乳首を突っつくと、半熟の黄身みたいなトロトロの液体が、上擦ったように酸っぱい色をしてドクドク出てきて、おれは彼女を破くことと、破かれた彼女を観察することに夢中になった。咥えていた煙草の灰が落ちたが気にしていられなかった。彼女は溺れながら、股の間に右手をやって、左手で破裂した乳房を支えながら熱湯の中で煩悶している。身をよじって震える度に、彼女の飛沫が散って、おれの眼鏡のレンズにまで付着した。それを人差し指と中指で塗り拡げると、視界が染まって、目に映るもの全てがおれに恥じらいをもって紅潮しているように見えた。煙草を踏み潰して、かわりに二本指を揃えてにおいを嗅ぐ。舐めると苦かった。彼女は自分の体液を飲み込みながら、顔を歪めたり緩めたりして、ピンクの涙とピンクの鼻血とピンクの涎を垂らして痙攣していた。沸騰した彼女の溶液が次第に気化し始めいて、部屋中が喘ぐようになっていた。乳首と膣から、彼女の中身がすべて放出し、火を止めて鍋の中をかき混ぜると、二つの眼球だけが浮いているだけで、他は何も残っていなかった。スプーンで掬って高く掲げると、蜂の蜜のように糸を引いて、それを落としたりまた掬って掲げたりを何度か繰り返しているうちに、加虐的な気持ちになっていく。皮膚感覚が遠のいていっている。膨張した神経がひしめきあっている。眼球を噛み潰して、まだ熱い半透明でピンク色の液体を、両手で掬って飲む。吐きながら飲み下す。舌が痺れて粘膜が爛れて眼窩が甘ったるくて、脳みそがずぶ濡れだった。体温の上昇や感情の高ぶりと同時に、途方もない落胆を、排水溝の栓を抜いたときの渦巻くような喪失感を、おれはハイスピードで味わっていた。射精に似ていた。ピンク色の、無口で伏し目がちな射精だった。キッチンは焼け付くような静けさの中で、焦げることも凍ることも許されないまま諦観めいた沈黙を決め込んでいた。おれは唇から溢れた彼女の溶液を自分の裸に塗りたくって、残りをプラスチックの水鉄砲に詰めて、銃口をしゃぶりながら、引き金を引いて、


http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=235895


 食虫植物ズというノイズバンドでいつも弦の足りていないギターに傷を付けたり付けられたりしていた彼女が今日のライブ中に死んだ。おれは隣で彼女が書いた「子宮なんかいらない」という歌を叫びながらベースアンプに頭突きすることに夢中で全く気が付かなくて、曲が終わってもずっとギュキギュキ鳴るものがあったからまた弦が喉に刺さって抜けなくなったのかと彼女の方を見たら四フレット辺りを噛み締めたまま失神していた。右眼だけ真ッ白で綺麗でおれは自分の額から垂れた血が眼に入るまで痙攣する彼女のつるつるの眼球に魅入っていた。
 十五人ほどの客がみんな引いた後、天井の低くてやたらでかい柱が邪魔な楽屋に戻って彼女を何度か揺さぶってみたが、ピンク色の泡立った唾液を口の端からこぼすだけで右の眼は相変わらず白いままだった。こりゃ死んじまったなとかこれからバンドどうしようかとかとりあえず明日のライブでは木魚使おうとか考えながら、半裸の彼女とギターとベースを背負ってライブハウスから地上へ出る暗い階段を上った。
 途中ふら付いて歯を折って、外に出ると吹雪で住んでいるアパートまで行くには電車に乗らなければいけなかったし駅までは遠かったしポケットには自分の歯と二百八十円しか入っていないしそもそも今が何時で終電が何時だったかもわからなかった。何より寒いのがいけなかった。
 路地に入ったがまだ寒かった。死んでいるのか死にかけているのか死にたがっているのか判断できない外灯が数メートル置きにゆらゆら立っていて下を見ていて、それ以外に光源の無い暗い路だった。そこで初めて自分の息が白いのに気付いて、まるで冷気を吐き出すマシンの心地だった。積もった雪が足の裏でゆでキャベツのような音を立てていて気色がわるい。拷問器具に抱かれているような寒さ、こいつらも金属だな。右足のブーツの先の剥がれたソールの隙間に空いている穴から恐ろしく冷たいマムシか何かが潜り込んできていて牙を立ててぎゅっと噛み付いて白濁の毒を指先に流し込んでいるが、彼女の好きな「局部麻酔少女図」という食虫植物ズの歌を歌いながら堪えて歩いた。おれはきっとジュークボックスと冷凍庫のあいのこだ。キャベツ畑を冷たいマシンが行く。
 腹が減った。野良猫の鳴き声がして、立ち止まるともうだめだった。黒々に固まってしまいそうで、ギロチンめいた風がよく効く。彼女の長い黒い髪を首元に巻き付けるが微塵もあったかくない。
 野良猫の姿は見当たらなかったから替わりに雪をすくって二三口食らい、回転しながら立ち小便をして、ここからここまでおれの陣地、そのいびつな領域の中にギターとベースを並べて置いた。寝台のつもりだった。彼女をその上に横たわらせ、おれもそこへ覆いかぶさって寝ようかとして、小便ではなく水の腐ったにおいがして、再び身を起こした。頭上を見ると青いブリキの看板に掠れたクリーム色のペンキで「魚屋ハッピーハッピー」と書いてあった。
 シャッターを叩いた。四十回くらい叩いて音沙汰が無く、右肩に担いでいたベースを振り上げて、振り下ろしたら、シャッターに裂け目が走った。ネックを握り締める手のあかぎれの肉の中に回転ノコギリじみた砕氷が入り込んできていた。おれはがむしゃらに叫びながら何度もベースを振り下ろした。最初缶切りの要領で徐々に穴を拡げようとしていたのだが途中から歪み始めて綺麗な円にはならなくなったので無茶苦茶に振り回していたらシャッター以外のものに当たったらしくベースが折れ、おれはよろめいて雪の上に倒れた。
 鼻水をすすって起き上がるとすぐ側で店主らしき老人の頭蓋が割れていてそこからやわらかな湯気が立ち昇っているのが見えた。大根おろし器のようになっている手先を老店主の蒸気にかざして血を通わせた後、再び彼女を抱えギターを背負いベースを引き摺って店の中に入った。
 菌類細菌類微生物だらけのにおいが店のコンクリートの床の上に沈殿してひしめいている。血の通ってない蛍光灯の下、何か食べる物は、と思ったが真ッ緑の水槽が幾つかビーと唸っているだけで魚らしい魚は見当たらない。側面を油絵の具で緑く塗りつぶしてあるかと思うほど藻のこびり付いた水槽の一つを覘き込むとシマシマの小さい魚がびっしり浮いていてワニの内臓のような悪臭が鼻を突いた。
 ハハンここ魚屋で無しに熱帯魚の類を売るショップかと、絶望的な笑いが込み上げてきてウフッて声が漏れてそのウフッの響き方が妙に啓示的で、このモーター音に似た懊悩から解脱させてくれるような厳めしさすら感じられて、しばらくおれは彼女を抱きながらウフッを連発していた。
 それにも飽きた。胃が痛くなってきた。店の奥はそのまま住居になっているらしく、戸を開けると廊下の向こうに障子が見えた。中は居間とひと続きになっている厨で、ブーツのまま上がり込むと床板が軋んだ。電灯をつけたかったが何度ヒモをカチカチしてもつかないのでいったん彼女をちゃぶ台の上におろし、無心で流しの傍にある冷蔵庫の扉に手をかけた。開けた途端、夥しい量の、ちぎれたゆで麺のような虫とその死骸が糸を引きながらなだれ落ちてきて足元に積もり、土と肉の混じった茶色いにおい、扉を閉めようにも隙間にスジコのようになった虫の塊があってぶよぶよと反発する。諦めて退避することにした。
 暗くてよくは見えなかったが、改めて目をやるとコンロには発酵物の溢れ出ている鍋とフライパン、流しには黒カビが蔓延していて、口にできそうなものは何一つ無く、寒気と悪臭で空きっ腹は収縮しねじれていくばかりで、おれは口腔内に圧搾されて出てきた黄色い胃液をこの台所に渦巻く不穏な巴の中へ吐き付けるくらいしかできなかった。咽喉の奥から空気の抜けるようなエエエッという音がして後には唾液も出てこない。一体あの老店主はどうやって生活していたのだ、はじめから死んでいたのではないか、と考えてから背負いなおした彼女の指を二三本噛み締め、流しの下にあった包丁だけを手に取って居間へ移動した。
 仏壇の前に座し、ギターとベースを裏返しにして置いた。今度はまな板のつもりだった。彼女を仰向きに横たわらせて下腹部に包丁を突き立てる。きらきらの肉が見えた。血が水彩絵の具みたいに滑って拡がっていく。彼女の足を開いて、性器の少し上の箇所の、あたらしい穴にくちづけをした。子宮は薔薇色に震えている。
 眼球を引っこ抜いた。ライチ色に発光していて、滴る液体からはいいにおいがした。二つ頬張って噛むと、網膜がやぶれてとろとろの硝子体が溢れ、口の中がいっぱいになった。舌先を動かすと水晶体が歯茎と下唇の隙間でぬめった。空っぽの眼窩に中指を刺し入れ彼女の頭の中をまさぐる。グルグルの脳みそ、爪の間に挟まったネバネバのカスみたいなのを舐め取ってまた眼窩の穴を拡げる。涙骨は窮屈だったが指先を髄膜に食い込ませ、やわらかい部分を掴まえて引き摺り出した赤黒い脳みそに吸い付くと多幸感に満たされた。射精していた。まったくいい女だった。
 彼女の小さな胸を眺めながら、血が冷えて固まってくるまで、あまりに穏やな、色つきの水を凍らせたようなカラフルで圧倒的な時間がすり抜けていくのを全身で感じていた。ライブハウスのステージの上にいるときの感覚とも似ていたし、それとは全く対極にある気もした。水槽の向こう側を見るような心地だった。どっちが中でどっちが外かはもうどうでもよかった。ただガラスと水があってそこを透き通る光が屈折してさえいればよかった。
 仏壇を開くと木魚があった。ベースは折れてしまったしギターはもともと弦が足りていないので、いまのおれにはこれくらいしか弾ける楽器がなかった。凍えながら木魚を叩いた。彼女のつくった歌を叫びながら、もし、もし夜が明けたらここで木魚屋をやろうと思った。木魚屋の食虫植物ズだ。木魚を叩く度にカミソリが舞うような耳鳴りがした。フォークやナイフが耳から脳へ刺さる音がしている。これはエレキ木魚。アンプは彼女の子宮。繋いでいるのはおれの精子。屈折して透き通って、向こう側にも伝わる。


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木魚屋

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 扇風機の駆動音と、蝉の声に紛れて、水の音がしている。彼はブリキのコップの中で魚眼を飼っていた。寝返りをうって、バタイユの文庫を相手に呪詛のような言葉を呟いている。彼女は何もきこえないふりをしながら、脱ぎ捨てられた制服と、イアフォンを耳につっこんで背を向けた彼の裸を傍目に、理科の教科書をめくっていた。乾燥した精液で貼りついたページを剥がす度に、少し嗜虐的な、プールサイドに寝そべった校舎の影が夏に焼かれているイメージが、爪を立てて、皮膚の裏側をなぞる。彼女はプールの授業がきらいだった。カルキのにおいと、クラスメイトの濡れた肌と、何よりそれらと一緒に同じ水へ潜るという行為に、言いようのない嫌悪感をいだいていた。口の中が乾いている。振り返って、彼に声をかけようかとしたが、しなびた舌が思うように動かず、再び視線を教科書へ戻すことになる。赤と青で塗りわけられた心臓のイラスト、電圧計と電流計のマーク、正しい順番に並べられた細胞分裂の写真、駄菓子屋で売られているみたいなBTB溶液の色、周期表、分子モデルの模型、アンドロメダ銀河、レーウェンフック、受精卵。彼女には唇から剥がした皮膚を咀嚼する癖があった。噛み締めた時に分泌される唾液の味と、細胞の死臭とが喉の奥で混ざり合い、全身を廻って、あらゆる粘膜に付着する。双子葉類の茎の断面、銅と硫黄の化合、位置エネルギーと運動エネルギーのグラフ、ムラサキツユクサの染色体、凸レンズ、プロミネンス、オキシドールと二酸化マンガン。ベッドのスプリングが軋んだ。彼がこっちを見ている。額の汗で濡れた前髪の奥から、4Bとか6Bの鉛筆で塗りつぶしたような、光のない目が覗いている。喉が渇いた、と伝えると、彼はうつ伏せになってベッドの下に手を伸ばし、コンドームの口を解いて彼女へ投げた。セキツイ動物のなかま、と見出しのあるページの、魚の写真がこぼれた精液でまみれる。急にまた、扇風機や蝉や水の音が、うるさく、粘っこく彼女の裸へまとわりつき始めた。彼女は理科の教科書と、窓際に置いてあったコップを掴んで、浴室へと走った。彼は再生の止まったイアフォンを引っこ抜いて、開いた状態で伏せられていた文庫本を拾い、立ち上がる。蛇口を閉めたときの、小動物の悲鳴に近い音がきこえる。彼女は床の青いタイルへ膝を突き、理科の教科書を浴槽へ沈めていた。シャワーヘッドで水をかき混ぜると、波打つ教科書のページから卵白のような精液がひろがって、毒にやられて死ぬ間際の、ダンスに似た伸縮を見せるようになる。コップの中身を放流する。無数の魚眼が旋転しながら、精液に絡みつかれて沈んでいく。嗚咽する彼女の後ろで、扇風機の駆動音と、蝉の声に紛れて、文庫本が床へ落ちた音がした。


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「水にならなければいけない、氷になるため、黒い液体の注がれた水槽に、地球は浮かんでいて、回転すると、ぬれた部分が夜になるから、ここで、産んでもいないのに死んでいて、生まれてもいないのに殺されていて、わたしは、泣いてもいないのに」

サンズイに夜で液、これを考えたやつは天才だとおもったけど、ぼくらはイメージにひっぱられすぎていて、あしのうらをねばつかせたまま、モチーフだけを氾濫させて、さらわれようとするから、飽和できずに、ぬれ続けるしかない

おやすみ、おやすみ、おやすみ、ほんとうにそれは、溺れる合図なのだろうか、安易に泳ぎたくはないけど、沈むことを正しいともおもいたくはない、夜とうまくつきあえない、ふりむいてほしくもない、融点を背にして、凝固点だけをみつめている、きっと殺意のなくなった瞬間に、殺してしまう、水位を上げれば、体温が下がることを覚えてしまった、区別がつかなくなってしまった

メロンソーダに魚眼をフロートさせて、保健室や理科室をのぞく、きみを殴って、血のついたアイスキャンディーをしゃぶって、夜をぬらす、アタリは出なかった、ジャムも、ゼリーも、すきとおるふりをするためのツール、ぼくは淡水に恋をしている、きみは海水に呼ばれている、数学のノートにかいた宇宙人を増殖させて、学校を襲うようにしむける、すいせいの生物になりたい、こうおんの動物をやめたい

「ふりはらったものばかりほめられる、欠落しないで、遠い、考えない、やめてよ、やすっぽい喪失で、わたしに堆積するものは濁っていてもいいけど、ゲロだけは、うつくしいから、排水溝になって、タイムマシンが完成したら、わたしが少女として呼吸をするまえに、絞首して、きれいに絶えてしまったら、胎児として脈をうつまえに、もう一度絞首して、嘘です」

(水びたしのきみをみるたび、きらいになった、死んでほしい)

からだじゅうに、つめたい電気を塗りたくって、ビームをはなつ、しきゅうとか、ちきゅうとか、そういう音で

suicideって、水辺のことだとおもってた、きみと同じ歳のころ


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水サイド

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2013年5月9日木曜日

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 手術室を溶かしたような色の、底の見えない湖へ知らない女と入水する夢をみていた。泳ぐつもりだったのか溺れるためだったのかはわからないが、女は幸せそうな顔をしていて、おれはそれを見ていたくないがために、水面に浮かぶ植物の死骸が回転するのをずっと眺めていたことを覚えている。岸に群生している花だろう。水に濡れ、腐敗しかけてはいるが、踊り子のような花弁でおれを見つめ返している姿は劣らず凛々しい。そのあと女とどうなったかは覚えていない。二人で沈んだのだろうか。水面の花は、温かい動物の皮を剥いだときに見える肉と血の色をしていた。
 むき出しの水道管と女の首輪とをつなぐ鎖の音で目がさめる。外は雨らしい。時計がないためこの薄暗さが朝なのか夜なのかはっきりとは判断できないが、眠りにつく前よりいくらかは明るい。ベッドの下に落ちている煙草の箱に手を伸ばす。部屋のものすべての輪郭が消えかかっている。テーブルの横には女の服と下着とが丸めて置いてある。いったい何日が過ぎたのだろうか。上体を起こし煙草に火をつける。おれはこのワンルームの浴室で、女を飼っている。
 向こうもこちらが起きた気配に気がついたのだろう。浴槽に鎖を打ち付ける音がいよいようるさくなる。冷蔵庫の前まで歩き、中の袋を手に取る。おれは女を飼う際に二つだけ命令を与えていた。決して声を出してはいけないことと、おれが与えるトマト以外のものを口にしてはいけないことと。浴室のドアを開け、シャワーカーテンを退ける。両手足に枷を嵌め、首輪から鎖を垂らしたトマトまみれの女が仰向けになっておれを睨んでいる。黒髪の張り付いた頬を強張らせ、爛れたように赤い口元と胸とを震わせている。おれは昨日トマトと一緒に置いておいた食べかけのジャムトーストが見当たらないことに気がついた。女に問い詰めると、食い縛っていた歯を鳴らして何か呻くように二言三言短い声を発したが、慌てて口を閉じた後はそれ以上の挙動を見せようとしない。メンソールの煙に混じって、鬱屈した思春期のような酸っぱいにおいが鼻をかすめた。おれは袋の中のトマトを一つ掴み、首輪の鎖を引いて突き出てきた女の口へそれを押し付ける。見開かれていた女の目に潰れたトマトの中身が飛び散る。女は首を振りながらも、必死に相槌を打つようにしてトマトを飲み込もうとするが、そのほとんどが胸の上か浴槽へと吐き出される。それは構わなかった。この後この女は、浴槽の底を舐めずってトマトの残骸をかき集めることになるのだから。煙草の火を消し、その様子を眺めながら再び袋の中に手を入れて反応を伺う。呼吸を荒らげこそしているものの、声らしい声を発さないことに感心したおれはまだ欲しいかと訊ね、やや小さめのトマトのヘタを摘まんで女に見せる。真っ白い肌が紅潮したように濡れている。
 女を浴槽の縁へ座らせ、足枷を外してやる。足首は黒ずみ、爪の間にはトマトの皮が挟まっている。太腿に手をかけ脚を広げる。女は上半身を捻らせおれから目を背けてはいるものの、それ以上の抵抗を見せようとはしない。弛緩し切った手足が小さく震えている。恐らくこれから起こることを想像し、恐怖と期待の混じった恍惚で思うように力が入らないのだろう。薄ピンク色の唾液が顎を伝って垂れ落ちる。おれは声を出すなよとだけ女に伝え、摘まんでいたトマトを膣口へ宛てがった。首の後ろで交差していた腕が浴室の壁を叩く。爪先を伸ばし、脚の付け根を痙攣させてのた打つが、構わずトマトを押し込んでいく。おれは発光する肉の中に埋もれていくトマトを見つめながら、夢でみた花のことを思い出していた。もしあの花が人を喰う植物だったら、迷わず喰われにいくだろう。言いつけ通り声を押し殺して喘いでいるこの女や、すべてを諦めたように笑っていた夢の女よりも、美しい花だった。
 赤子の拳ほどあったトマトがすべて膣内に収まる。女は失禁していた。おれは顔にかかったものを拭いながら、膣口からトマトのヘタを生やし未だ身体を顫動させ続けている女を見下ろしていた。まるで新しい臓器だった。トマトは子宮の傍でこれからも脈打つのだろう。そして女は、我が子に対するような愛情でそのトマトを慈しむに違いない。急にそれが憎らしく思えてきた。おれは袋の中に残ったトマトを掴んで女へ投げ付ける。女の額や頬や首筋に、胸や腹や太腿に、濡れた花が燃え付く。女は気を失っていた。浴室は静まり返っていた。雨は止んだのだろうか。おれは振りかざした腕を下ろし、その手に残った最後のトマトを見つめた。もう女はいない。おれは湖には沈まない。トマトを両の掌で包み込み、潰し、その中に顔を埋める。死んだ踊り子が、羽ばたくように回転している。


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 きもちよかったから授業が終わったあともふやけるまでプールの底で自作のテクノポップ歌ってたら初潮がきちゃって、ドリルみたいに。あまりに前衛的でショックで水がピンクで、ねばねばしてるのをだれかに伝えたくてプールから出たんだけど、女子更衣室バリ封されてて入れなかった。中から委員長の酸っぱくて生ぬるいアロエドリンクみたいな喘ぎ声が聞こえてて、それが授業前に見た彼女の水玉のパンツと大人のブラだけにじゃなくて自分のお気に入りの白いハイソックスにまで染み込んでいってると思うと口の中がにがにがした。
 仕方ないから教室めがけてスクール水着のままひとひとと歩き続けた。塩素と女の子のにおいのするピンクの水滴らせてるおしゃれなわたしをみんなに見てほしかったのに、東館の二階の廊下は死体だらけでだれもこっちを向いてくれなかった。しかもみんな顔の穴と性器を中心に鉄タマゴに寄生されててすごいキッチュ。ピンクよりメタリックのほうがおしゃれに決まってる。くやしくて泣きそうだった。思わず死体を蹴った。先輩だった。眼鏡の奥で鉄タマゴがきらきら光ってた。
 先輩の眼鏡を借りて、片方のレンズに出てきたばっかりの血を塗ってみた。青色が足りないから、3D眼鏡にはならないけど、かけるといい気分がした。そのまま歩き続けた。
 教室についた。相変わらず廊下は死体だらけだった。でももしかしたら教室ではいつも通り授業をやっているかもしれないから、中へ入るには、いい子ちゃん風、はぶられ子ちゃん風、ったくかったりーぜ子ちゃん風、どれかを装わなくてはいけなかった。けど逡巡していて気づいた。わたしスク水だった。しかも初潮がきたばっかりだから、みんなわたしのことしか考えられなくなって授業ジャックしちゃうかもしれない。国語の時間だったらいいけど、確か今は数学の時間。連立方程式がわからなくなってしまうのは将来困る。だからわたしは滅却した。煩悩ゼロ子ちゃんという名の透明人間になった。ドアを開けた。いきなり襲われてしまった。わたしはだれにも見えないはずだったのに。ガスマスクの男に押し倒されて馬乗りされて腕押さえつけられてスク水のままレイプされた。もしかしたらこの男のガスマスクのゴーグル部分に赤外線センサーでもついているのかもしれない。でも煩悩ゼロ子ちゃんはなにも感じてはいけないと思ったからそのまま犯され続けた。気持ちいいとか痛いとかはどうでもよくて、ただ、さっき初潮がきたばっかりなのにもうレイプされてるとかわたしビューチフル極まりないとつい思ってしまって、煩悩を滅却するのは難しいなと感じた。
 だれかの絵の具セットが床に落ちてた。18色セットだった。わたしのは12色セットだったからいつも肌色をうまくつくれなくて困ってたのを思い出した。私を犯している男はガスマスクを装着してて、夏なのに学ランで白い手袋をつけてたから肌の色はわからなかった。もしかしたら虹色の肌をしているかもしれない。12色だったらいいな、とか考えていたら顔射されてた。顔射というより眼鏡射だった。先輩の眼鏡は私の経血とこの男の精液とでべとべとだった。天井がいちごミルク色になって見えた。教室にはスク水のわたしとガスマスクの男以外だれもいなかった。黒板には自習って書いてある。頬に飛び散った精液を拭いながらセックスは自習じゃないだろってこの男に言ってやったら、ガスマスクをシュコーシュコーさせながら、教師が教えなてくれないことを生徒同士でするのは自習だろって返されて不覚にもときめいてしまった。性器は虹色じゃなくてピンク色だった。チャイムが鳴って四限が終わった。
 ガスマスク男によると、学校には処女と童貞にしか効かないウイルスが撒かれたらしかった。今頃他の教室でも生徒同士が鉄タマゴに寄生されて死ぬのが怖くてセックスしているのだろう。先輩は童貞だから死んでしまった。わたしも危ないところだったらしい。初潮が来た日に処女消失しちゃうなんて死んでもいいなと思ったけど、少しだけ自慢してやりたい気にもなった。さし当たってガスマスク男にそのことを伝えたら、おれもはじめは死にたくない一心でおまえを犯したがスク水の女の子とセックスできたのだからもう死んでもいいって。わたしはべつにガスマスク男とセックスしたかったわけじゃなかったけど、それを聞いたらやっぱり死んでもいい気がしてきた。死ぬのが楽しみになってきたと言ってもいい。初潮が来てしまって、処女膜を失ってしまって、そしたらもう死ぬくらいしかできない。14歳にして真実を悟るなんてわたし偉い。
 屋上に向かうと、すでに生徒の列ができていた。少し先に委員長の姿もあった。男子と女子が手を繋いで次々に飛び降りていく。きっと校庭は砕け散った死体だらけになってる。わたしもガスマスク男と手を繋いだ。もうすぐわたしたちの番だった。生乾きのスク水が肌に張り付いてスースーした。フェンスを跨いで下を向いたら、先輩の眼鏡が先に落ちていった。


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 カモメが鳴いている。ゲームボーイが発するエイトビットの効果音に似ている。ぼくらのあらゆる体液を染み込ませたエロ本だらけのこの廃小屋が、蒸し暑い潮風を吸ってさらに膨張している。ぼくはかげろうの中にいる。フォーマットされていながらも、正しいデータとして認識されない曖昧な存在として、毎日を放出と吸収の繰り返しで生きている。バイナリを書き換えたい。ちぐはぐな密度を詰め込んだ摂氏三十六度の肉体を置き去りにして、どこか遠くで凍えたい。皮膚の表面が硬化している。虫か植物の粘膜のようにまとわりつく濁った汗が廃小屋の埃を付着させ、体温の逃げ道を塞いでいる。きみは眠っている。白いワンピースの裾からのぞく太腿に、板張りになっている壁の節目から差し込んだ陽の光が食い込んでいる。きみはこの街に住んでいながら、この街とは無縁の、薄氷か新雪のように冷たく滑る肌をしている。ゲームボーイを握るぼくの手は、熱を帯びた鱗にまみれてしまっている。魚類や爬虫類は、外気の温度によって体温を変化させることができるらしい。画面に敵が現れる。ばくは何の動物なのだろう。どこに帰属しているのだろう。親指で丸いボタンを押す。コマンドを入力して、画面の敵にダメージを与える。コマンドを入力して、敵にダメージを与える。コマンドを入力して、ダメージを与える。コマンド、ダメージ、コマンド、コマンド。喉が渇いている。カモメの鳴き声みたいな音をさせて敵が死んでいく。エロ本に裸を載せている女たちも、いつかは死ぬのだろうか。だれかに丸いボタンを押されて、コマンドを入力されて、ダメージを与えられて、カモメの鳴き声みたいな音をさせて、死ぬのだろうか。インクでできた女たちと、ドットで描かれた敵たちと、海辺の街で育ったきみと、熱に閉じ込められたぼくとでは、何が違っているのだろう。画面が汗で滲んでいる。きみは眠っている。このまま敵を倒し続けて、塔を登っていけば、エイトビットのぼくはしあわせになれるだろう。摂氏三十六度のぼくは、親指で丸いボタンを押す。
 きみは、ぼくの名前を叫んで目を覚ます。色の濃い夕日が廃小屋の中で濁りを増している。オレンジジュースが飲みたい。ぼくの隣に駆け寄り、膝を抱えて座り込んだきみが、か細い声で夢の話をしはじめる。ゲームボーイの画面にはエンディングのロールが流れている。ぼくと首を絞め合っている最中、エスパーに目覚めたきみはからだ中からギザギザのエフェクトを飛ばしてこの街を滅ぼす。静止した画面に、イタリックの書体でエンドという文字が表示される。きみはだれもいない海に浸かって自分のからだを融かすが、意識が消えないまま海そのものになってしまう。ゲームボーイの電源を切る。冷たい水を湛える宇宙として、音のない慟哭をあげ、きみはぼくを産む。エロ本の山の上にゲームボーイを置いて、泣いているきみに顔を向ける。オレンジ色のモザイクがぼくの視線を遮る。エイトビットのぼくはしあわせになった。摂氏三十六度のぼくは鱗だらけの腕をきみの首へ伸ばし、親指に力を入れる。きみは俯いたまま、ふるえる手でぼくのからだをなぞる。カモメが鳴いている。


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エイトビット摂氏三十六度

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2013年4月21日日曜日

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